【AIM】猫の腎臓病治療薬の研究に注目集まる【研究所設立】

「猫にとって腎臓病はどのような病気なの?」
「腎臓病を治す薬の開発に注目が集まっているけど内容を知りたい」
「私たちも支援できるの?」

2021年7月に配信された、猫の腎臓病の治療薬開発に関するニュースに注目が集まりました。
新聞やテレビなどで見かけた方も多いのではないでしょうか。
特に猫を飼っている方は大注目だと思います。

管理人も、6歳のラグドールを飼っている無類の猫好きなので、このニュースにはとても興味を持っていて、薬の開発に大きな期待を寄せています。

この記事では、大注目の「猫の腎臓病治療薬の研究」についてご紹介します。
この記事をご覧いただくと、次のことがわかります。

この記事を読めばわかること
  • 猫と腎臓病の関係
  • 腎臓病治療薬の研究の概要
  • 研究の今後の見通しと支援方法
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猫と腎臓病の関係

まず、このニュースを理解するためには、猫と腎臓病の関係について押さえておく必要があります。

日本における猫の飼育頭数は、964万4千頭とされています(2020年度一般社団法人ペットフード協会の調査より)。2017年に初めて猫の飼育頭数が犬を逆転しました。
猫の飼育頭数はその後も増加を続けています。

そんな猫の多くが、腎臓病で亡くなっていることをご存知でしょうか?

実は、猫にとって慢性腎臓病(慢性腎不全)はとても深刻な病気で、老齢になると発症するリスクが高まり、死亡率が高いという特徴があります。
また、慢性腎臓病が進行するスピードがゆっくりで、外部から早期に発見することが難しい病気です。

現時点で有効な治療法はありません

猫の腎臓病の治療薬の研究

そのような中、東京大学の宮崎徹教授が行う「猫の腎臓病治療薬の研究」に大きな注目が集まっています。

治療の鍵となるのが、宮崎教授が発見したAIM (Apoptosis Inhibitor of Macrophage)というたんぱく質です。

AIMとは

AIMは、猫に限らず、マウスや犬、人間の血液中にも存在するタンパク質です。
宮崎教授によると、AIMには、体の中の死んだ細胞などの”ゴミ”を察知すると、血液中から”ゴミ”の元へ移動して自らが目印となり、体内の”ゴミ”掃除を行う貪食細胞を助ける役割があります。
AIMのこのような役割は、腎臓病に限らず、その他の様々な病気にも関連すると考えられています。

宮崎教授は、多くのネコが腎臓病を原因に死亡してしまう重要なファクターが、先天的にAIMが働いていないことであることを見出しました。
以来、AIMネコ薬の開発をヒトに対する薬に先行して研究を進めているそうです。

高齢になるとイエネコの多くが腎臓病を発症することから、もし猫の腎臓病の治療薬が開発されれば、多くの猫の寿命を延ばすことにつながります

資金不足による研究の中断

一方、研究は思うように進まないこともあったようです。

AIMはタンパク質製剤であるため、化学合成で作れるものではありません。
製造工程は非常に複雑で、莫大なコストや労力がかかります

それでも何年もかけて研究に取り組まれ、2020年の春に治験薬製造のための条件検討開発をほぼ終えかけていたところ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、2020年6月頃から開発資金が続かず、いよいよ次のステップへという時に開発の中断を余儀なくされました

ネコ愛好家から多くの寄付金が集まる

2021年の夏、研究が苦境に立たされていることがメディアで伝えられると、全国のネコ愛好家から宮崎教授が所属する東京大に寄付が殺到し、一気に2億円超が集まりました
これは東大史上でも最速ペースだそうです。

東京大学のHPによると、20,401 件、 281,257,917 円(2022年1月11日現在)の寄付の申込があったそうです。
東大のHPから、猫を救いたいという人たち想いが伝わる「寄付者の声」をみることができますので、是非ご覧になってみてください。

あわせて読みたい

新たな研究団体の設立へ

寄付により研究資金が集まり、実用化に向けて一層期待が集まる中、2022年1月に新たな動きがでてきました。

宮崎教授らは、2022年4月から研究に専念するため、一般社団法人 AIM医学研究所 (英名 The Institute for AIM Medicine:略称 IAMアイアム)を設立することをHPで公表しました。
ネコ並びにヒトAIMの創薬・実用化を最大限加速化することを目指し、学外に新しい研究組織を立ち上げることを決断されたようです。

なお、宮崎教授は、3月末をもって東京大学を離れ、代表理事・所長としてIAMに専任し、研究室のメンバーもIAMで共にAIM研究を続けるとのことです。

「AIMを使用したネコ薬について、2023年中の実用化を目指す」という記事も見かけました。
今まさに腎臓病で苦しむ猫ちゃんの飼い主さんや、今飼っている猫ちゃんの将来を心配する管理人を含めた全猫の飼い主さんにとって、すぐにでも薬が開発されれば本当にうれしいことです。
一日でも早く薬が実用化されることを心から願います。

研究を支援する方法

IAMの設立に伴い、東京大学のHPでは、東京大学基金における宮崎徹教授の猫の腎臓病治療薬研究への寄付受付は、2022年1月11日をもって終了したと発表されています。

現在は、2022年4月1日より研究活動を開始したIAMのHPより、寄付の受付を行っています。

一般社団法人AIM医学研究所
寄付受付 – 一般社団法人AIM医学研究所 一般社団法人AIM医学研究所(The Institute for AIM Medicine, 略称IAM)は、AIMに関する研究を総合的かつ集中的に推進し、その成果の実用化を加速するために、AIMの発見者...

宮崎教授の書籍

マルカン社からAIM活性化成分配合のペットフードが発売!

宮崎教授のAIM研究がマスコミに取り上げられ大きな反響があったことを受け、2022年3月、ペットフード・ペット用品のメーカーであるマルカン社より、猫の腎臓の健康維持フード(総合栄養食)が発売されました。

その名も「AIM30」(エーアイエムサーティ)。
「宮崎教授の研究成果より誕生」したそうです。

宮崎教授の研究成果とは?どうしてペットフードなのか?

急性腎不全を治癒させる機能を持つ血液中のタンパク質AIM
腎障害時、細胞が死んで剥がれ落ちて尿細管をふさぐ(ゴミがたまる)
→AIMがIgMから解離し、血中から尿中に移行して死んだ細胞に蓄積
AIMが目印になって、貪食細胞がゴミ掃除をしてくれる
→尿細管の詰まりが改善されて腎障害が治癒する。
ところが、猫のAIMはヒトやマウスの1000倍の強さでIgMとくっついているためAIMが尿中に移行できず、その結果AIMがゴミのつまりを知らせられず、尿細管が詰まり腎障害が進行してしまう。

研究を進める中で、AIMをIgmから離れさせる=AIMを活性化する効果がある物質として、L-シスチンを探り当てた。

尿細管に蓄積したゴミがまだ少ないうちにL-シスチンを定期的に摂取することで、腎臓病の予防・抑制の効果がある可能性がある。

そこで、マルカン社にL-シスチンを配合したフードの開発を依頼した。

2022.3.30 AIM活性化成分配合のペットフードについて

https://iamaim.jp/%e3%82%b3%e3%83%a9%e3%83%a0/

腎臓の働きを改善する遺伝子「AIM」でネコの寿命が2倍に!? | 広報誌「淡青」37号より

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00002.html

AIM30は治療効果があるものではなく、まだ腎臓病にかかっていない、または軽症の猫ちゃんたちのための「予防」・「抑制」効果を期待した総合栄養食(=普通のペットフード、主食のごはん用)とのことです。

宮崎教授もコラムで述べていますが、腎臓病治療中ですでに腎臓療法食を食べている猫ちゃんは、必ず主治医に相談してから、AIM30が必要であれば療法食と組み合わせてあげるなど、適切に使用する必要があります。

「どこででも買える安価な商品として、できる限り速やかに愛猫家に届けられるようにしたかった」ため、ペットフードとして発売したそうですが、腎臓病を心配している飼い主さんたちにとっては、安価なことより、効果がある「療法食」や「薬」、もしくはせめて「サプリメント」が期待されているのでは・・・と思ってしまいました。
(療法食の開発は並行して進めているそうです。)
管理人はまだ購入はしない予定です。

とはいえ、薬が完成するまでの着実な進展ですよね。今後もさらなる研究成果の実用化を応援しています。

AIM30は発売以来人気で、2022年4月の時点で品薄状態です。
だからといってメルカリや転売ヤーから買わないように気を付けてください。
大切な家族のごはんですから、購入するのであれば適切なショップから適切な価格で購入したいですね。

まとめ

  • 猫にとって腎臓病は重大な病気
  • 宮崎教授の腎臓病治療薬の研究に注目が集まっている
  • 2022年1月に新たな研究組織を設立し、早期実用化が期待される
  • 2022年3月にマルカン社よりAIM30(総合栄養食)が発売

以上、今回は「猫の腎臓病治療薬の研究」についてご紹介しました!

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